不安症/不安障害とは?
誰もが、試験や就職面接の直前など、不安や恐れを感じる場面を経験するかと思います。このような場面で不安や恐れを感じることは普通であり、健康であるともいえます。しかし、不安レベルが高すぎて日常活動や仕事、社会的義務を避けているのであれば、不安症(不安障害ともいう)の一つに苦しんでいる可能性があります。
不安症は過剰な不安および恐怖を感じることを特徴とする精神障害です。ここで重要なことは、不安は将来の出来事を心配することを指しているのに対して、恐怖は現在の出来事への反応を指しているということです[1]。不安や恐怖のどちらも、汗をかいたり、胸がどきどきしたり、恐怖やパニックといった身体的および感情的な症状を引き起こすこともありますが、ひどく心配したり、場所や状況を回避したり、時には家に引きこもるということも起こり得ます。
不安症には社交不安症、全般不安症、限局性恐怖症、パニック障害、広場恐怖症、分離不安症、選択性緘黙(かんもく)といったいくつかの種類があります。どの不安障害もそれぞれの症状、発症年齢、治療法および日常生活への影響を併せ持っています。このページでは、その違いを簡単に説明しています。
関連ページ:
- 社交不安症
- パニック障害
- 広場恐怖症
- 限局性恐怖症
- 全般不安症
- 選択性緘黙(かんもく)
- 分離不安症
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不安症-社交不安症/社交不安障害
社交不安症(社交不安障害ともいう、または社交恐怖)は社交状況への過剰で不合理な恐怖を感じることが特徴です。社交不安症の人々は通常、公衆の面前や(少人数の)グループで話をしたり、聴衆の前で何かパフォーマンスをしなければならない場合、過度のストレス、不安、恐怖を経験します。他人から注視されたり、批判されたり、評価されると感じることが強い自意識過剰や緊張の原因となります。なぜなら、彼らは、間違いをおかしたり、迷惑をかけたり、恥をかくことを恐れているからです。社交不安症のある人が注目の的になる機会がある場合、社会的状況を回避するのが一般的です。
発症年齢は12~16.6歳です[2]、[3]、[4]、[7]。研究に使用されている統計によると、100人中7.4~13人が人生のある時点で社交不安症を抱えているといわれています[5]、[6]、[7]、[9]。
安全行動:社交不安症をもつ人々は、自身を落ち着かせるために安全行動や安全信号を使用するのが一般的です。例としては、友人をパーティーに連れて行く、イベントの始めに少量のアルコール飲料を飲む、デオドラントや特定のネックレスを身につけるなどがあります。
症状:
- じろじろ見られたり、注目または観察されていると感じる、社会的状況における不安または恐怖
- 不安や恐怖を示し、社会的に拒絶されることへの恐れ
- 社交的交流は回避され、辛抱強く耐え忍ばれる
- 社交的交流は一定のストレスを誘発する
- 社交不安は個人的な苦痛や、職業的、社会的、または他の特定の領域における機能に害を引き起こしている
- 恐怖や不安はその状況に釣り合わない
- 上記の症状が6ヶ月以上続く
社交不安症に関するより詳しい情報は、下記のページへどうぞ:
- 社交不安症
- 社交不安の原因
- 社交不安の症状
- 社交不安症の診断
- 社交不安症の治療法
- 社交不安症テスト
- 社交不安症と社交不安症をもつパートナーへの対処法
- 社交不安症の事実
不安症-パニック障害/パニック症
パニック障害(パニック症ともいう)は、繰り返される予期しないパニック発作が起こることが特徴です。パニック発作の間、心臓の動悸、息切れ感、震え、しびれ感、胸の痛み、めまい感などの身体的症状を伴う激しい恐怖を感じます。ほとんどのパニック発作において、症状と苦しみの高まりのピークはパニック発作開始から10分で達します。ほとんどの人にとって、なぜ突然パニック発作を経験したのかを理解することは非常に困難です。その結果、彼らは新しいパニック発作を心配したり、パニック発作と関連のある場所を回避し始めるかもしれません。
発症年齢は6.8~7.1歳です[2]、[3]、[4]、[7]。研究に使用されている統計によると、100人中2.4~7.1人が、人生のある時点でパニック障害を抱えているといわれています[6]、[7]、[9]。
安全行動:パニック障害をもつ人々は、自身を落ち着かせたりパニック発作を乗り切るために、安全行動や安全信号を使用するのが一般的です。例としては、友人に電話する、友人を特定の場所に連れて行く、精神安定剤を飲む、決まった習慣を行う、アイテムを数えて自分の気をまぎらわすなどがあります。
症状:
- 動悸、心悸亢進、心拍数の増加
- 発汗
- 身震い、震え
- 息切れ、息苦しさ
- 窒息感
- 胸痛、胸部の不快感
- 吐き気、腹部の不快感
- めまい感、ふらつく感じ、気が遠くなる感じ
- 現実ではない感じ、自分自身から引き離された感じ
- 抑制力を失う、どうかなってしまうことへの恐怖
- 死ぬことへの恐怖
- 感覚麻痺、うずき感
- 寒気、熱感
パニック障害に関するより詳しい情報は、下記のページへどうぞ:
- パニック障害とは?
- パニック障害の原因
- パニック障害の診断
- パニック障害の治療法
- パニック障害テスト
- パニック障害を止める方法とは?
- パニック障害をもつパートナーへの対処法 (記事作成中)
- パニック障害/パニック症の興味深い事実
不安症-広場恐怖症
広場恐怖症は、脱出が困難または不可能かもしれない状況への恐怖が特徴です。広場恐怖症をもつ人々は、混雑した場所、広々とした場所や橋などを恐れています。なぜなら、閉じ込められたり、当惑したり、援助がないと感じるかもしれないからです。恐怖や不安は、広場恐怖症の人に呼吸困難、胸痛、めまい感、発汗や動悸などの経験をしばしば引き起こします。これらの症状は非常に不快で、時にはパニック発作につながる場合もあります。広場恐怖症の人はパニック発作やこれらの症状を回避するために、閉じ込められたと感じるような場所や状況を避ける傾向があります。新しい状況下でのわずかな身体的症状が、すでに強い恐怖や不安を引き起こしている可能性もあります。より重度の広場恐怖症の場合、通りへ出ることがすでに症状を引き起こすと感じるため、自分のアパートや家の中に閉じこもってしまうこともあります。
発症年齢:25歳以降[15];1000人中6.5~37人が人生のある時点で広場恐怖症を発症するといわれています[6]、[7]、[9]、[12]、[13]、[14]。
安全行動:広場恐怖症をもつ人々は、自身を落ち着かせたり、脱出が困難または不可能な状況を乗り切るために、安全行動や安全信号を使用するのが一般的です。例としては、友人と話す、特定の場所に電話をかける、外出する時間帯を選ぶ(通りや店内に人が少ないとき)、犬を連れる(安全のためや、犬で気をまぎらわすことができるため)などがあります。
症状:
- 動悸
- 発汗
- 呼吸困難
- 身震い、震え
- 熱感、寒気
- 吐き気、下痢
- めまい感、気が遠くなる感じ
- 胸痛
- 嚥下困難
- 死ぬことへの恐怖
広場恐怖症に関するより詳しい情報は、下記のページへどうぞ:
- 広場恐怖症とは? (記事作成中)
- 広場恐怖症の原因 (記事作成中)
- 広場恐怖症の診断 (記事作成中)
- 広場恐怖症の治療法
- 広場恐怖症テスト (記事作成中)
- 広場恐怖症と広場恐怖症をもつパートナーへの対処法 (記事作成中)
- 広場恐怖症の興味深い事実 (記事作成中)
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不安症-限局性恐怖症
限局性恐怖症は、現実の危険と不釣り合いな特定の状況や対象および動物への持続的かつ非合理的な恐怖が特徴です。これらの持続的かつ非合理的な恐怖は、著しい恐怖、呼吸困難、追い詰められてる感じ、発汗を引き起こす可能性があります。限局性恐怖症をもつ人々は、その状況から早々に離れたがったり、恐怖の対象に近づくことを恐れることもあります。残念なことに、限局性恐怖症の人が恐怖の対象と遭遇しているときに、恐怖の対象に近づきたくないと思うことは、身体的症状とあわさって、恐怖と不安を著しく増加させます。
発症年齢:6~11歳[16];限局性恐怖症は最も一般的な不安症の一つであり、100人中9.0~18.4人が人生のある時点で限局性恐怖症を発症するといわれています[6]、[7]、[9]。
安全行動:限局性恐怖症をもつ人々は、特定の状況を耐えたり(飛行すること考える)、直面することを回避するために、安全行動や安全信号を使用するのが一般的です。例としては、その状況を早期に離れる、友人を連れて行く、自分を守るために棒や武器を携えていく、その状況を耐え抜くために精神安定剤を使用する、などが一般的な安全行動です。
症状:
- 息切れ
- 発汗
- 呼吸困難
- 震え
- 追い詰められている感じ
- 突然の激しい恐怖
- 著しい恐怖
- その状況から早く離れたい
- 筋肉の緊張
- 落ち着きのなさ
- 胸がどきどきする
- 頭がくらくらする
- 緊張感
- 怪我への恐怖
- 心配
- 近づくことへの恐怖
限局性恐怖症に関するより詳しい情報は、下記のページへどうぞ:
- 限局性恐怖症と限局性恐怖症をもつパートナーへの対処法 (記事作成中)
- 限局性恐怖症の事実
- 限局性恐怖症テスト
不安症-全般不安症/全般性不安障害
全般不安症(全般性不安障害ともいう)は、多くの場合、日常の出来事に対して、心配を抑制することが難しいことまたは非現実的なことへの心配が特徴です。全般不安症をもつ人々は、はっきりとわからない状態を扱うことができないため、すべてのことに対して頻繁に心配します。不明確なことは、最悪のシナリオをもたらす可能性を高めるものもあります。問題を心配することは、短期的にはストレスと不安を減らしますが、長期的にはストレスと不安が大幅に増加します。全般不安症をもつ人々は、疲労感、リラックスできないこと、筋肉の緊張、睡眠障害、過剰な心配や誤った決定をすることへの恐怖をしばしば経験します。
発症年齢は26.6歳[7]であり、全般不安症は100人中2.0~9.0人が発症するといわれています[6]、[7]、[9]。
安全行動:全般不安症をもつ人々は、不安やストレスの量を減らすために、安全行動や安全信号を使用するのが一般的です。例としては、すべてのことを心配する、友人の意見を聞く、他の人に決定を求める、責任を取ることを回避する、ストレスや不安レベルを軽減するために抗不安薬を使用するなどがあります。
症状:
- 懸念していることを過剰かつ持続的に心配する
- 心配を抑制することができない
- 誤った決定をすることへの恐怖
- 自分で決定することへの苦痛
- リラックスできない
- 集中困難
- はっきりとわからない状態を扱うことができない
- 最悪のシナリオを考える
- 筋肉の緊張
- かんしゃく
- 震え
- 疲労感
- 過度の驚愕反応
- 発汗
- 吐き気、下痢
- 頭痛
全般不安症に関するより詳しい情報は、下記のページへどうぞ:
- 全般不安症とはどんなものでその症状とは?
- 全般不安症の原因
- 全般不安症の診断
- 全般不安症の治療法
- 全般不安症の対処法
- 全般不安症をもつパートナーへの対処法
- 全般不安症テスト
- 全般不安症の興味深い事実
不安症-分離不安症/分離不安障害
分離不安症(分離不安障害ともいう)は、愛着をもっている人物から離れたり分離されることへの異常な苦痛、過剰な恐怖や心配が特徴です。分離不安症をもつ人は、愛着をもっている人物に何か悪いことが起こることも恐れています。これらの恐怖や心配は、身体的な異常、睡眠障害、1人でいることへの恐怖、愛着をもっている人物から離れることへの拒否、およびその人物への持続的な心配をもたらす可能性があります。
小児期の分離不安症の発症年齢は6歳、成人の分離不安症は18歳;100人中1.2~8.7人が人生のある時点で分離不安症を発症するといわれています[6]、[8]、[9]。
症状:
- 愛着をもっている重要な人物への過剰で持続的な心配
- 愛着をもっている人物が家から離れる、いなくなることへの反復的な苦痛
- 家から離れることへの拒否
- 家に1人でいることへの拒否
- 愛着をもっている人物の近くにいないで就寝することへの拒否
- 悪夢を見る
- 愛着をもっている人物がいない時の集中困難
- 分離している間:腹痛、頭痛または他の身体的症状
- お漏らし(子どもの場合)
- かんしゃくや懇願
- 1人でいることへの恐怖
分離不安症に関するより詳しい情報は、下記のページへどうぞ:
- 分離不安症とは?
- 分離不安症の原因
- 分離不安症の症状
- 分離不安症の治療法
- 分離不安症テスト
- 分離不安症の興味深い事実
- 分離不安症と分離不安症をもつパートナーへの対処法
不安症-選択性緘黙(かんもく)
選択性緘黙(かんもく)は、社交不安症とほとんどいつも併存する不安症の一つです(選択性緘黙をもつ100人中95人以上に社交不安症があります)[17]、[18]、[19]。選択性緘黙をもつ人々は、安心できる相手にはとてもおしゃべりになりますが、安心できない相手と一緒にいる状況では沈黙します。選択性緘黙をもつ子どもや成人は、否定的な結果(羞恥心、罰や社会的拒否を受けるかもしれない)にもかかわらず社会的状況や特定の人々と話すことができません。彼らにとって目を合わせ続けることや、気持ちや感情を表現することは難しく、とても内気で全く笑いません。
発症年齢は3歳4ヶ月です。選択性緘黙は比較的まれな不安症であり、1000人中7.1~22人が人生のある時点で選択性緘黙を発症するといわれています[10]、[11]。
症状:
- 内気
- 目を合わせることへの回避
- 目を合わせ続けることが困難
- 感情や気持ちを表現することが困難
- 全く笑わない
- 特定の状況や特定の人と話さない
- 同年代児よりも心配症
- 騒音や群衆への神経過敏
注:自閉症スペクトラム障害やトラウマ緘黙との強い重なりにより、選択性緘黙はしばしば見落とされることがあります。
選択性緘黙に関するより詳しい情報は、下記のページへどうぞ:
- 選択性緘黙とは? (記事作成中)
- 選択性緘黙の原因 (記事作成中)
- 選択性緘黙の症状 (記事作成中)
- 選択性緘黙の治療法 (記事作成中)
- 選択性緘黙テスト (記事作成中)
- 選択性緘黙の興味深い事実 (記事作成中)
- 選択性緘黙と選択性緘黙をもつパートナーへの対処法(記事作成中)
参考文献:
- [1] Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders. American Psychiatric Association (5th ed.). Arlington: American Psychiatric Publishing. 2013. pp. 189–195.
- [2] Kessler, R. C., Berglund, P., Demler, O., Jin, R., Merikangas, K. R., & Walters, E. E. (2005). Lifetime prevalence and age-of-onset distributions of DSM-IV disorders in the National Comorbidity Survey Replication. Archives of general psychiatry, 62, 593-602.
- [3] Fehm, L., Beesdo, K., Jacobi, F., & Fiedler, A. (2008). Social anxiety disorder above and below the diagnostic threshold: prevalence, comorbidity and impairment in the general population. Social psychiatry and psychiatric epidemiology, 43, 257-265.
- [4] Fehm, L., Pelissolo, A., Furmark, T., & Wittchen, H. U. (2005). Size and burden of social phobia in Europe. European neuropsychopharmacology, 15, 453-462.
- [5] Crome, E., Grove, R., Baillie, A. J., Sunderland, M., Teesson, M., & Slade, T. (2015). DSM-IV and DSM-5 social anxiety disorder in the Australian community. Australian & New Zealand Journal of Psychiatry, 49, 227-235.
- [6] Kessler, R. C., Petukhova, M., Sampson, N. A., Zaslavsky, A. M., & Wittchen, H. U. (2012). Twelve‐month and lifetime prevalence and lifetime morbid risk of anxiety and mood disorders in the United States. International journal of methods in psychiatric research, 21, 169-184.
- [7] McLean, C. P., Asnaani, A., Litz, B. T., & Hofmann, S. G. (2011). Gender differences in anxiety disorders: prevalence, course of illness, comorbidity and burden of illness. Journal of psychiatric research, 45, 1027-1035.
- [8] Shear, K., Jin, R., Ruscio, A. M., Walters, E. E., & Kessler, R. C. (2006). Prevalence and correlates of estimated DSM-IV child and adult separation anxiety disorder in the National Comorbidity Survey Replication. American Journal of Psychiatry, 163, 1074-1083.
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- [11] Bergman, R. L., Piacentini, J., & McCracken, J. T. (2002). Prevalence and description of selective mutism in a school-based sample. Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry, 41, 938-946.
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- [13] Kessler, R. C., Ruscio, A. M., Shear, K., & Wittchen, H. U. (2009). Epidemiology of anxiety disorders. In Behavioral neurobiology of anxiety and its treatment (pp. 21-35). Springer, Berlin, Heidelberg.
- [14] Kessler, R. C., Chiu, W. T., Jin, R., Ruscio, A. M., Shear, K., & Walters, E. E. (2006). The epidemiology of panic attacks, panic disorder, and agoraphobia in the National Comorbidity Survey Replication. Archives of general psychiatry, 63, 415-424.
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- [18] Vecchio, J. L.; Kearney, C. A. (2005). “Selective Mutism in Children: Comparison to Youths with and Without Anxiety Disorders”. Journal of Psychopathology and Behavioral Assessment, 27, 31–37.
- [19] Black, B.; Uhde, T. W. (1995). “Psychiatric Characteristics of Children with Selective Mutism: A Pilot Study”. Journal of the American Academy of Child & Adolescent Psychiatry, 34, 847–856.