複雑性PTSD、PTSD、PTSの説明と比較

心的外傷後ストレス障害(Post-traumatic stress disorder 通称:PTSD)は、さまざまな形で個人の生活に深刻な影響を及ぼす精神障害です。PTSDは、ある人が(危うく)死ぬことや性的暴力および/または深刻な怪我などにさらされたトラウマ的出来事(心的外傷的出来事)について誰かが経験したり、見たり、知った後に現れる可能性があります。トラウマ的出来事の一般的な例は、(自動車)事故、自然災害、性的/身体的虐待、強盗、公共の場で恥じをかくことなどがあります。複雑性PTSD(Complex PTSD)は、長期にわたる社会的および/または対人的な外傷への曝露後に発症する可能性がある発達性トラウマ障害(Developmental trauma disorder 通称:DTD)です。複雑性PTSDは、逃げられない、監禁、依存という状況で現れます。複雑性PTSDを引き起こすトラウマ的出来事の一般的な例は、長期にわたる性的/身体的/精神的虐待、いじめ、拘束された捕虜、戦争、極限の貧困などがあります。こういったことにより、被害者は状況をコントロールできずに無力感を感じ、その人のアイデンティティや自己認識を変えることさえ可能にしてしまいます。このページでは、複雑性PTSD、PTSD、および心的外傷後ストレス(Post-traumatic stress 通称:PTS)の違いについて詳しく説明していきます。


Barends Psychology Practiceでは、(オンライン)眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)の使用を通して、PTSD、複雑性PTSD、PTSのカウンセリングを行っていますが、日本語でのカウンセリングは現在受け付けておりません。

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心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは?

人は一つまたはそれ以上のトラウマ的出来事にさらされた(数ヵ月)後に、心的外傷後ストレス障害(PTSDを発症することがあります。例としては、交通事故、性的または身体的虐待、戦争、いじめなどがあります。PTSDの発症にはトラウマ的出来事を自ら経験する必要はありません。自動車事故、強盗、または虐待を目撃するだけで、PTSD発症の引き金になることもあります。

誰もがPTSDを発症するわけではありません。多くの場合、2人が同じトラウマ的出来事を経験し、そのうち1人だけがPTSDを発症しています。これが人々を非常に困惑させ、一部の人にとっては恥ずかしいことでもあります。しかし、PTSDになるのを防ぐために自分自身でできることはほとんどありません。現時点では、専門家たちは人々がトラウマ的出来事を処理する方法と何か関係があるのではないかと考えています。つまり、あなたがどれほど強く勇敢であるかということは関係なく、結局誰もがPTSDを発症する可能性があるということです。

PTSDをもつ人は次のような症状を経験しています。苦痛な夢および/またはその出来事のフラッシュバック、その出来事の記憶の回避と麻痺症状、深刻な不安、過覚醒、睡眠障害などです。

ほぼすべての人が一生のうち一つまたはそれ以上のトラウマ的出来事を経験しますが、ほとんどの人はPTSDを発症することはありません。約5%の人々が一生のうち一度PTSDを発症します。通常、時間が経つにつれてほとんどのPTSDの症状はなくなります。しかし、症状によっては悪化し(機能する能力に影響を及ぼし)、数ヵ月から数年続くことがあります。この場合、PTSDに苦しんでいる人は治療を必要としています。PTSDをもっているかどうかわからない場合は、匿名のPTSDチェックリストにて質問事項に答えると、すぐに結果を見ることができます。わたしたちはオンラインPTSD、複雑性PTSD、PTSのカウンセリングを行っています。(現在、日本語でのカウンセリングは受け付けておりません。)

心的外傷後ストレス障害とトラウマ/心的外傷後ストレスの違いとは?

多くの人がトラウマ的出来事(自動車事故、戦闘、誘拐など)を経験していますが、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の基準を満たしていません。これらの人々は心的外傷後ストレスPTS、トラウマとも呼ばれることもある)をもっている可能性があります。PTSDとPTSは似たような症状をもっており、混同しやすいです。PTSの症状は、緊張や恐怖を感じる、手が震える、心拍数の上昇、発汗、トラウマ的出来事を思い出させる状況の回避、その出来事に関する悪夢を見る、気が動転するなどの症状があります。

PTSDPTS/トラウマの違いは:

心的外傷後ストレス障害の症状:

  • 1ヵ月以上続く。
  • 重症である。
  • 日常の機能を妨げている。

PTS/トラウマの症状:

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  • 通常1ヵ月以下続く。
  • 症状は激しいが、数日後におさまる。
  • 長期間、日常生活を妨げない。

PTSDの症状の詳しいリストはPTSDの症状をお読みください。


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あなたはPTSをもっており、いくつかの症状がおさまらないことがあるかもしれません。その場合は、助けを求めカウンセラーにあなたの経験を伝えたほうがいいでしょう。多くの場合、いくつかのセッションをすれば前に進むのに十分ですが、そうでない場合はさらにいくつかのセッションが必要かもしれません。これらの症状に苦しむことに価値はないので、症状を見ないふりをするよりカウンセラーに頼るほうがいいでしょう。

複雑性PTSDと普通のPTSDの違いとは?

複雑性PTSDは公認の障害ではありませんが、広く知られているPTSDタイプであり、長い間社会的および/または対人的なトラウマ(監禁状態や逃げられない状況)を経験した人に使われています。これらの状況は、無力感、抑制の喪失、アイデンティティや自己認識の歪みをもたらす可能性があります。複雑性PTSDを発症する可能性がある例としては、性的虐待、身体的虐待、精神的虐待、家庭内暴力、拷問などがあります。強制収容所、人質として捕らわれること、子どもの性的虐待などが考えられます。いじめられた長い歴史も複雑性PTSDをもたらす可能性があります。これらの例では、犠牲者はその状況から逃げることはできないと感じており、その人は一つ以上のトラウマを経験していました。

つまり、事故のような一つのトラウマ的出来事の後にPTSDになることはありますが、一つのトラウマ的出来事の後に複雑性PTSDになることはありません。長い間、逃げることはできないと感じるような外傷を与えられてきた状況の後、複雑性PTSDになる可能性があります。そのような状況は容易に数ヵ月または数年続くことがあり、これらの経験が人格を変えてしまうことが多々あります。複雑性PTSDをもつ人々は、怒りを爆発したり、常に悲しみを感じたり、自己破滅的な考えをもっています。時には、恐ろしい出来事に関することを忘れたり、それを追体験することもあります。彼らはしばしば罪悪感、恥、無力感、価値のなさを感じています。複雑性PTSDに苦しんでいる人は、他人を再び信頼するのが難しいと感じ、親密さに問題が生じることがあります。これは社会的および感情的な孤立を好む傾向の発達を伴っている可能性があります。下記がPTSDと複雑性PTSDの違いです。

PTSDと複雑性PTSDの違い

PTSD

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  • 一つまたはいくつかのトラウマ。
  • フラッシュバック。
  • トラウマに関する苦痛な夢。
  • トラウマを思い出させるものの回避。
  • 不安、うつ。
  • 過度の警戒心。
  • 過剰な驚愕反応。
  • いくつかの解離症状。

複雑性PTSD

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  • 慢性的な避けられないトラウマ。
  • フラッシュバック。
  • 夜驚症、慢性不眠症。
  • 社会的孤立、人間関係の回避。
  • 習慣に影響を与える深刻な感情の変化。
  • 過度の警戒心、虐待者へのゆがんだ認識。
  • 自分ではない感覚。
  • 偏見なしで見ることができず、すぐに圧倒されてしまう。

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  • PTSDのどちらのタイプも治療することはできますが、複雑性PTSDに関してはより多くの治療セッションが必要となるかもしれません。人によっては、複雑性PTSDから回復するのに1年以上かかることもあります。もしご自身が複雑性PTSDをもっていると思うのであれば、必ずあなたに合う良いカウンセラーを見つけてください。あなたとカウンセラーが絆を築くことも非常に重要なことです。