PTSDをもつパートナー

トラウマ的出来事を経験することは、人々の大多数が考えているよりももっと一般的なことです。自動車事故、強盗に遭う、自然災害(ハリケーンや地震など)、愛する人の喪失、性的暴行を受けるなどはすべてトラウマ的出来事の例なのです。他の例を挙げると、いじめにあうこと、他の都市や国へ引っ越すこと、解雇されることなどがあります。これらのトラウマ的出来事に反応して、(いくつかの)心的外傷後ストレス障害の症状(PTSD症状)を経験するのは普通のことです。睡眠障害、気分の変動、フラッシュバック、集中困難は一般的なPTSDの症状です。これらの症状に加えて、PTSDは社会的および職業的機能においても悪影響を及ぼす可能性があります[1]。大多数の人々においては、これらの症状はトラウマ的出来事を経験してから数週間以内におさまります。しかし、一部の人々においては、これらのPTSD症状はおさまらず、PTSDを発症してしまいます。PTSDに苦しむということは、多くの場合、睡眠障害、苦痛な夢、集中困難に対処しなければならないということを意味します。PTSDをもつ人は1日のうち如何なる時でも、フラッシュバックの引き金を引いたり、経験する可能性があります。フラッシュバックと引き金には、不安、恐怖、パニック、悲しみ、または怒りの感情が伴っています。PTSDによる苦痛は、自然に止まることはなく、回避的対処は長期的には苦しみが増してしまいます。

私たちは、PTSDをもつ人に「PTSDへの対処法」のヒントやコツが書かれた下記のセルフヘルプページを読むことをお勧めしています。PTSDをもつパートナーの方には、PTSDをもつあなたのパートナーが経験するかもしれない症状の知識を増やすため、そしてそれらの症状をできる限り緩和する方法を知るために、このページを読むことを強くお勧めします。PTSDをもつパートナーをもつことは、挑戦することでもあります。なぜなら、彼らは予測不能な反応をしたり、性格とは異なったことや、その状況に釣り合わない反応をする可能性があるからです。彼らはあなたを不公平に扱ったり、興味を示さなかったり、好きではないまたは関わろうとしないかもしれませんが、これは本人の意志ではないということを理解しておくことが重要です。

Barends Psychology Practiceでは、心的外傷後ストレス障害のオンラインと対面でのカウンセリングを行っていますが、日本語でのカウンセリングは現在受け付けておりません。

関連ページ:

PTSDをもつパートナー - あなたのパートナーがなぜそのような反応をするかを理解すること

PTSDをもつパートナー
PTSDをもつ人は、明確な理由もなしに
性格と異なる反応をしたり、
状況に釣り合わない反応をすることがあります。
これはどのように機能しているのでしょうか。
どのようなことが引き金になるのか?

通常の日々の活動において、PTSDをもつ人は性格とは異なった、またはその状況に釣り合っていない反応をするかもしれません。これは、外傷を与えられてない人にとって、その人がなぜそれほど極端な反応をするのか理解するのはとても難しいことです。この極端な反応が、PTSDをもつパートナーとの議論や口論、孤独感や引っ込み思案へと容易につながる可能性があります。

トラウマ的出来事を思い出させる何かが引き金になっているので、PTSDをもつ人にとっては、異なる方法で反応を示すことは非常に難しいことです。この思い出させる何かとは、外的なもの(他人の言動、特定の場所や人物)、または内的なもの(記憶、似たような匂い、音、感情、味)などや、もっと個人的なものもあります。トラウマ的出来事を思い出させるものが、動悸、震え、フラッシュバック、気分の変動、解離などのようなPTSDの症状を引き起こす場合があります。

PTSDをもつ人において、普通の出来事がどのようにPTSDの症状を引き起こす可能性があるのか(「どのようなことが引き金になるのか」)を様々な例とともに画像を作成しました。この画像では、各例が異なるトラウマ的出来事を引き起こしています。

日常生活における一つのトラウマ的出来事の影響
これは、一つのトラウマ的出来事が日常生活の状況に
どのような悪影響を及ぼす可能性があるかの例です。 

PTSDをもつパートナー

しかし、一つのトラウマ的出来事が、次の画像「日常生活における一つのトラウマ的出来事の影響」)でも見られるように、複数の方法で引き起こされることもあります。この画像では、トラウマ的出来事が見捨てられること、信頼関係の問題、自尊心の低下への恐怖を引き起こしています。例では、これらの問題の一つが引き金となり、ソフィアの生活にマイナスな影響を与えています。例えば、もしソフィアの友人やパートナーが彼女のメールの返事を数時間以内に返さなかったら、ソフィアはさらに連絡をします。ソフィアは友人やパートナーが彼女を見捨てるのではないかと恐れているのです。友人やパートナーはできるだけ早く返事をしなければならないことにプレッシャーを感じ、ソフィアと距離を置くようになるかもしれません。なぜなら、彼女があまりにも要求してくるからです。


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別の例では、もし彼女のパートナーが(2つの例を組み合わせた)境界線を設定することを批判した場合、彼女はパートナーに見捨てられるような感じがしたり、自分が「パートナーとしてふさわしくない」ように感じるかもしれません。トラウマ的出来事と類似していることが分かります。結果として、彼女は批判を避けるために境界線を設定しないかもしれません。

多くの場合、PTSDをもつ人々は彼ら自身の引き金に気付いておらず、なぜ自分がそういう反応をするのか説明することができません。これがパートナーにさらにストレスを与えてしまうことがあります。

PTSDをもつパートナー - ヒントとアドバイス

引き金リストを作る:

PTSDの引き金リストがあれば、あなたのパートナーが特定の状況においてどのような反応をするか、または何を回避すべきかを予測しやすなります。例えば、PTSDをもつ戦争の退役軍人であれば戦争映画を避ける、あなたのパートナーが友人に拒否されたり見捨てられた場合はすぐに電話をかけ直したりするなどです。PTSDをもつパートナーが特定の状況でどのような反応をするのか書き出しておくと、双方にとってさらに役に立つでしょう。

支えになること:

あなたのパートナーが落ち込んでいたり、悲しんでいるときにはいつでも支えてあげることが、パートナーの困難な瞬間を乗り越える手助けになります。PTSDをもつあなたのパートナーは否定的な考えや感情をたくさんもっているかもしれませんが、ポジティブでいることが大切です。「自分の罪やスピリチュアリティの欠如のため神によって罰せられるという感覚[3]」といった否定的な信仰的対処のように、否定的な反応(例えば、彼らの感情を無視したり、前に進もうと伝えるなど)はPTSDの症状が増えてしまう可能性がある[2]ので避けてください。否定的な信仰的(宗教的)対処はPTSDをもつ人をより悪くし、PTSDの症状は軽減されません。

下記に、社会的支援を提案するときに考えられる項目があります。あなたは、PTSDをもつパートナーにどの方法で社会的支援を提案しますか。下記の項目から選んで投票し、他の方の答えとあなたの結果を比べてみてください。

どの方法であなたのパートナーを手助けしていますか?

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回避的対処を予防する:

回避的対処は短期的には機能するかもしれませんが、長期的にはPTSDの症状を高めます[4]、[5]、[6]。トラウマ的出来事の内的および外的な思い出させるものは辛く、楽しいものではありませんが、それらは一時的なものであり、時間とともに消えていくことを覚えておいてください。あなたのパートナーに毎日少しの間だけでもPTSDの内的および外的な思い出させるものを回避することをやめる手助けをすることが重要です。内的および外的な思い出させるものに関するより詳しい情報はPTSDへの対処法をご覧ください。フラッシュバック、記憶、思考、感情に常に向き合うことをあなたのパートナーに強制しないでください。パートナーがこれらを多く抱えているのであれば、なおさら強制しないでください。こういった場合は、少し気を逸らしながら、PTSDの治療をすることをお勧めします。

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やる気を起こさせる:

あなたのパートナーに、健康的な生活リズムおよび社会的支援のために友人や家族と連絡を取るように働きかけてください。PTSDをもつパートナーにとって、健康的な生活リズムは睡眠障害や苦痛な夢を軽減するのに重要です。健康的な生活リズムは、仕事に間に合う、約束に間に合うようになる可能性を高めてくれます。サポートしてもらうためにあなたのパートナーが頼ることができる友人や家族が多いほどより良いです。あなただけがパートナーの支えになる必要はありません。あなただけでは十分ではないかもしれないし、パートナーに必要なものすべてを与えることはできないかもしれません。人によって、状況は少しずつ異なり、アドバイスも違ったものになります。加えて、その間にあなた自身も少し充電することができるでしょう。

認知評価:

一般的には、PTSDをもつ人々は、人生に対してより否定的な視点をもっています。彼らは他の人よりも不機嫌な気分状態にあることが多く、その日を乗り越えるためにもがいています。彼らが特定の課題に対して、挑戦ではなく問題として捉えることは驚くことではありません。課題を問題として捉えることは、より否定的な感情、絶望感やストレスに対するより多くの感情に関連しているのです[7]。

基本的に、認知評価はより肯定的な方法で課題を捉えることを意味しています。課題を挑戦として捉えることは、低い否定的な感情、肯定的な覚醒度、コントロールしているという感情に関連しています[7]、[8]。特定の課題を再評価することでPTSDをもつパートナーを手助けすることは、特に「挑戦に勝った」ときに彼らの気分を向上させてくれるでしょう。

文献:

  • [1] Karney, B. R., Ramchand, R., Osilla, K. C., Caldarone, L. B., & Burns, R. M. (2008). Predicting the immediate and long-term consequences of post-traumatic stress disorder, depression, and traumatic brain injury in veterans of Operation Enduring Freedom and Operation Iraqi Freedom. Invisible wounds of war, 119.
  • [2] Ullman, S. E., Townsend, S. M., Filipas, H. H., & Starzynski, L. L. (2007). Structural models of the relations of assault severity, social support, avoidance coping, self-blame, and PTSD among sexual assault survivors. Psychology of Women Quarterly, 31, 23-37.
  • [3] Feder, A., Ahmad, S., Lee, E. J., Morgan, J. E., Singh, R., Smith, B. W., … & Charney, D. S. (2013). Coping and PTSD symptoms in Pakistani earthquake survivors: Purpose in life, religious coping and social support. Journal of affective disorders, 147, 156-163.
  • [4] Lawrence, J. W., & Fauerbach, J. A. (2003). Personality, coping, chronic stress, social support and PTSD symptoms among adult burn survivors: a path analysis. The Journal of burn care & rehabilitation, 24, 63-72.
  • [5] Iverson, K. M., Litwack, S. D., Pineles, S. L., Suvak, M. K., Vaughn, R. A., & Resick, P. A. (2013). Predictors of intimate partner violence revictimization: The relative impact of distinct PTSD symptoms, dissociation, and coping strategies. Journal of traumatic stress, 26, 102-110.
  • [6] Pineles, S. L., Mostoufi, S. M., Ready, C. B., Street, A. E., Griffin, M. G., & Resick, P. A. (2011). Trauma reactivity, avoidant coping, and PTSD symptoms: A moderating relationship? Journal of abnormal psychology, 120, 240.
  • [7] Olff, M., Langeland, W., & Gersons, B. P. (2005). The psychobiology of PTSD: coping with trauma. Psychoneuroendocrinology, 30, 974-982.
  • [8] Prati, G., & Pietrantoni, L. (2009). Optimism, social support, and coping strategies as factors contributing to posttraumatic growth: A meta-analysis. Journal of loss and trauma, 14, 364-388.